Mike Oldfield
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マイク・オールドフィールド United Kingdom
 マイク・オールドフィールドは一般的にカンタベリー系と言われているミュージシャンである。ただ彼の場合、人脈上そう呼ばれるだけで、出身地はカンタベリーではないし、音楽的にもソフトマシーンキャラバンの流れを汲むものではない。純粋に音楽を楽しむには関係のないことだが、マイク・オールドフィールドの音楽をカンタベリーミュージックと理解するのはあまり正確ではないので注意が必要である。
 しかし、ソフツやキャラバンなどがカンタベリー系として他のプログレと区別される音楽的特徴は微妙でわかりにくいのに対し、マイク・オールドフィールドの音楽は個性的でそれ自体が1つのジャンルを築いているといえる。
 ほぼ全ての楽器を彼一人で演奏し、その多重録音によって構築されるスケールの大きな音楽は、ロックらしからぬ繊細さを持っている。不安定な家庭で少年時代を過ごしたため内向的な性格になったという彼の傷ついた精神世界が、負の力によりそのまま具現化したような音楽である。

 なお一行評にて「硝子の心」という表現を使ったが、後にセミナーだかカウンセリングだかを受けたことで別人のように外交的になったそうである。たが性格改善後に作られた彼の作品は一般的にあまり評価されていない。
http://www.mikeoldfield.com/
Tubular Bells 1973
Tubular Bells
1. Tubular Bells, Part one (25:28)
2. Tubular Bells, Part two (23:20)
 超有名なピアノのシーケンスフレーズで幕開くデビュー作にして代表作。そして新興レーベルであったヴァージンレコードの第一弾アルバムでもある。
 このイントロが良くも悪くも有名になったのは、ホラー映画『エクソシスト』のテーマ曲として使用されたことによる。映画の成功で本作の評判も上がり、同時にヴァージンを大企業へとのし上げることになった。しかしホラー映画での使用により、このイントロが恐怖を演出するフレーズとして世間に印象付けられたことは、音楽を純粋に楽しむ者としては少々残念である。とはいうものの、こうしたことをきっかけにプログレを知らなかった人、あるいは無関心だった人が興味をもってくれれば嬉しいが。
 さて、本作は第1部と第2部に別れるインストゥルメンタル「Tubular Bells」1曲のみ。第1部は全体的に前述のシーケンスフレーズに支配されるが、主題はむしろ4分過ぎに現れる部分であろう。この霧が晴れてゆくような美しいパートは、世間に植え付けられているこの曲の恐怖のイメージをも晴らしてくれるはずである。
 第2部は英国の田園風景を思わせるトラッド風の曲想から、ロックや夢想的なインプロなどに展開し、民族舞踏に終わる。第1部のような一貫したテーマを持つわけではないが、オールドフィールドの音楽的ルーツが凝縮されているようで興味深い。最後の徐々にスピードアップしていく民族舞踏風のパートは圧巻。
★★★★★★★★★(9)
last update:2004/08/18
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Hergest Ridge 1974
Hergest Ridge
1. Hergest Ridge, Part One (21:30)
2. Hergest Ridge, Part Two (18:48)
 2nd。前作『Tubular Bells』同様、パート1・パート2に分かれたタイトルナンバー1曲のみ。オーケストラが導入されるなど、新たな試みがなされている。
 オールドフィールドの音楽は牧歌的と形容されることが多いが、初期作品の中では本作のパート1が一番それに近い。「癒し系」という言葉は好きではないが、おそらくそう評されるであろう音だ。
 パート2もパート1同様に始まるが、中間にテクノ風シンセによる怒涛のパートがある。このあたりはさすがに時代というものか。
★★★★★★★★(8)
last update:2004/09/02
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Ommadawn 1975
オマドーン
Ommadawn
1. Ommadawn, Part One (19:23)
2. Ommadawn, Part Two (17:16)
 3rd。やはり2部構成の全1曲というスタイル。
『Tubular Bells』の大ヒットで一躍トップ・アーティストの仲間入りを果たしたマイク・オールドフィールドだったが、そうなると当然第2、第3の『Tubular Bells』が期待されることになり、ナイーブな彼は心身ともにボロボロになったようだ。しかし時として、増幅された負のパワーによって素晴らしい芸術が生まれることがある。
 この『Ommadawn』は、マイクの疲弊しきった剥き出しの心に触れるがごとく痛々しいが、どこまでも透き通り、純粋。パート1後半部でアフリカンドラムのビートに乗せてマイクが奏でる、震えるようなエレクトリックギターのサウンドは、先の見えない霧の中でもがく彼自身の心の叫びのようでさえある。
 一方でパート2には、穏やかで優しいアイリッシュ・トラッド的な一面も見られる。これは濁流さながらに流れる現代社会のメインストリームに引きずり出された彼が抱く、古き良き時代への憧れではないだろうか。
「宇宙を飛ぶより馬に乗っていたい」というような歌詞を子供達と合唱する、ラストの「On Horseback」という小曲(CDによってはトラック分けされている)が全てを物語っている気がする。
 演奏については多重録音を駆使したマイクのマルチプレイという前2作を踏襲したスタイルだが、本作では特に本業(?)のギタリスト:マイク・オールドフィールドを意識させる、素晴らしいギタープレイを残している。前述したパート1後半部でのエモーショナルなプレイもその1つ。だがさらに強力なのがパート2後半、アイルランド舞踊風の伴奏をバックに弾きまくるエレクトリック・ギターのソロ。フィドルでやるようなテクニカルなフレーズをギターで流れるように演奏している。75年当時、ロック畑のギタリストでここまで弾ける人はほとんどいなかったのではないだろうか。

 精神的な高さ、演奏力、そして音楽的なまとまりの良さなど、どれをとっても非の打ち所のない恐るべき完成度の名盤だと思う。日本での知名度が低いのが信じ難いが、ニューエイジ系の音楽が流行ったりする土壌はあるのだから、存在さえ知られれば広く受け入れられることは間違いない。ただ、馬鹿の一つ覚えでこういう音楽をすぐに「癒し系」だとか言うのは勘弁してもらいたいが。
★★★★★★★★★★!(10)
last update:2005/05/03
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