MAGMA
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マグマ France
 フレンチロックの最終兵器。世界最強のヘヴィ・ジャズロック集団。
 エルドンのリシャール・ピナスに、「オリジナルな音楽がないフランスのミュージック・シーンにおける、唯一の例外」と言わしめたグループ。
 コバイア語という創作言語による呪術的繰り返しのヴォーカル/コーラスや、クリスチャン・ヴァンデ(d)を中心とした超絶プレイヤーによるハイテンションなインタープレイは筆舌に尽くし難く、単にジャズロックと呼ぶにはあまりに個性的すぎる。マグマのアルバム・ジャケットに書かれている”Zeuhl Wortz Kosmik”という言葉はコバイア語で”天の音楽”といった意味であるが、まさに彼らの音楽はその言葉通り唯一無比の音宇宙である。

 こうしたグループが日本では”フレンチ”というだけで英プログレより軽く扱われがちな上、プログレ・ファンからもマイナーな存在として見られているのは非常に残念である。どうも日本人には“英米ロック至上主義”というか“英米ロックコンプレックス”みたいなものがあるらしい。だが、マグマは実力・音楽性・精神性においてKingCrimson、SoftMachineなどの英プログレ大将クラスと同格かそれ以上の存在であると断言してもよい。妙な偏見を捨てて彼らの音楽を聴いてみよう。圧倒的な音の洪水によって、その場に捻じ伏せられてしまうだろう。

 80年代中頃からバンドは活動休止状態にあったが、1996年に復活。98年には来日もしている。もちろん私も見に行った。
 この新しいMAGMAには管楽器奏者がいないため予想以上にロックっぽい演奏だったが、白目を剥いてドラムをぶっ叩くヴァンデのパフォーマンスは噂どおり。オーディエンスからは「ZËBEHN STRAÏN DË GEUSTAAH!!!!(クリスチャン・ヴァンデのコバイア名)」と叫び声があがり、中央通路付近では女性が踊り狂い(マグマの音楽で踊るのは非常に困難なのだが)、その他ほとんどの客が(私を含めて)コバイア語で一緒に歌っていた。それはある意味、宗教団体の集会に近いものがあったが、客席とステージが一体となった素晴らしいライヴでもあった。

※AKTレーベルからリリースされた未発表音源は、録音時期に関わらずAKTレーベルの番号順でレビュー後半に掲載しています。
http://www.seventhrecords.com/
Magma 1970
Magma
[disk1]
1. Kobaïa (10:09)
2. Aïna (6:16)
3. Malaria (4:22)
4. Sohïa (7:42)
5. Sckxyss (2:47)
6. Auraë (10:52)
[disk2]
1. Thaud Zaia (7:01)
2. Naü Ektila (12:57)
3. Stöah (8:09)
4. Mûh (11:16)
 マグマ、デビュー作。そしていきなり2枚組というところが只者ではない。
 まだ後のマグマ・サウンドは完成しておらず、『Third』時のソフトマシーンみたいなジャズロック。ただ、ソフツに比べヴォーカルの比重が大きく、後のマグマの諸作品と比べても一番まともに歌を「歌っている」感じがする。
 ライヴでもよく演奏される看板ナンバー「Kobaïa」は本作収録。マグマ全盛期のジャジーなライヴバージョンに比べると、スタジオ版はだいぶロックっぽい。同曲の中間にはコバイア語による語り(叫び?)もある。
 死の星”地球”を脱出し、惑星コバイアを目指す数人の地球人の物語。
 マグマの出発点という意味では歴史的価値の高いアルバム。ただマグマ初心者には不向きかも。
★★★★★★★(7)
last update:2003/12/22
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1001℃entigrades 1971
摂氏1001℃
1001℃entigrades
1. Rïah Sahïltaahk (21:45)
2. "Iss" Lanseï Doïa (11:46)
3. Ki Ïahl Ö Lïahk (8:23)
 2nd。全3曲。徐々に後につながる大作志向が表れてはきたが、音楽はまだ前作の延長線上のジャズロック(前作より若干ジャズ寄り)。ただ強迫観念に駈られたかのような、1つのフレーズの執拗な繰り返しはいかにもマグマ的。
 ヴァンデ作曲の「Rïah Sahïltaahk」には、「M.D.K.」をはじめとしたトゥーザムターク3部作に通じるアイデアが見え隠れする。
 ソフトマシーン等のジャズロックが好きな人にはお奨めのアルバム。ただし、これもマグマの入門用としては不向き。
 なお、本作で知り合ったヨシコ・ジェフ・セファー(sax)とフランソワ・カーン(k)は、この後マグマを抜けてザオを結成する。
★★★★★★★(7)
last update:2003/12/22
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Mekanïk Destruktïw Kommandöh 1973
呪われし地球人たちへ
Mekanïk Destruktïw Kommandöh
1. Hortz Fur Dëhn Stekëhn West (9:35)
2. Ïma sürï Dondaï (4:30)
3. Kobaïa is de Hïndïn (3:36)
4. Da Zeuhl wortz Mekanïk (7:49)
5. Nebëhr Gudahtt (6:03)
6. Mekanïk Kommandöh (4:10)
7. Kreühn Köhrmahn Iss de Hündïn (3:31)
 ついに本領を発揮した3rdアルバム。一応細かく曲分けされているが、全て継ぎ目なくつながっており実質1曲。そして、この「Mekanïk Destruktïw Kommandöh(M.D.K.)」はマグマを代表する究極の1曲である。
 はじめに断っておくと、これはもう”ジャズロック”ではない。大幅増員された”声”パートによる重厚なコーラスは、むしろオペラ・ロック。延々と同じ歌詞(もちろんコバイア語)が繰り返されるところなどは呪術的でさえある。個々の楽器のソロ・パートをほとんど設けず、曲のトータル的な完成度に主眼をおいているあたりもジャズやジャズロックの方法論とは異なるところ。そのためか前作までいたリード志向の管楽器奏者はほとんどいなくなった。
 怪物ベーシスト、ヤニック・トップが加入したのも本作から。『Üdü Wüdü』の「De Futura」での演奏があまりに強烈で有名な彼だが、本作ではわりとおとなしめに役目をこなしているという感じ。だが重厚なコーラスに押しつぶされず、音が生きているのはさすが。クリスチャン・ヴァンデが唯一同格扱いしているプレイヤーなだけはある。
 さて、この「M.D.K.」だが、1stから続くコバイア・ストーリーの完結編で、ヴァンデによれば「集団自殺の試み」とのこと。創始者クレイン・コールマンの名に導かれ、地球人たちが天へ消えて行くというもの。同一フレーズのしつこい繰り返しが随所にあるため、部屋を暗くして聴いていると本当に何かの暗示にかけられそうだ。かなり、やばい(笑)
 ちなみに本作はトゥーザムターク(Theusz Hamttaahk)3部作の第3部でもあるが、この第1部、第2部は1st、2ndではなく、スタジオ未録音の「Theusz Hamttaahk」が第1部、ヴァンデ名義の『Wurdah Ïtah』が第2部に相当する。
★★★★★★★★★★(10)
last update:2003/12/22
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Wurdah Ïtah 1974
トリスタンとイゾルテ
Wurdah Ïtah
1. Malawëlëkaahm (3:38)
2. Bradïa da Zïmehn Iëgah (2:18)
3. Manëh Fur Da Zëss (1:36)
4. Fur Dihhël Kobaïa (4:55)
5. Blüm Tendiwa (3:29)
6. Wohldünt M^ëm Dëwëlëss (3:30)
7. Waïnsaht !!! (2:30)
8. Wlasïk Steuhn Kobaïa (2:47)
9. Sëhnntëht Dros Wurdah Süms (3:25)
10. C'est la Vie Qui les A Menes La ! (4:58)
11. Ëk Sün Da Zëss (2:17)
12. De Zeuhl Ündazïr (3:40)
 正確にはマグマのアルバムではなく、クリスチャン・ヴァンデ名義。トゥーザムターク3部作の第2部。
 もともと『トリスタンとイゾルテ』という映画用に作曲したのだが、デモテープを渡したところなんとそれがそのまま映画で使われてしまい、後になってちゃんと録音をしなおしたというもの(つまりサントラではない)。
 本作は『.M.D.K.』同様全1曲。マグマとしては最も小人数の4人で録音されており、しかも楽器はヤニック・トップのベースとヴァンデのピアノ、ドラムのみ。必然的にピアノの伴奏をバックにした、ヴォーカル/コーラス主体の音楽になっている。クロース・ブラスキス(vo)に言わせると、「最もクリスチャン・ヴァンデらしいアルバム」ということだが、たしかに”声”を重視している点においてヴァンデの80年代の音楽性との共通点は認められる。マグマのアグレッシヴな面を求めてこのアルバムを聴くと、少々肩透かしを食わされるかもしれないが、3部作の中ではもっとも聴きやすい。
 なお、本作冒頭の「Malawëlëkaahm」と「Bradïa Da Zïmehn Iëgah」はトゥーザムターク3部作の第1部「Theusz Hamttaahk」の冒頭部分とほぼ同じ。
★★★★★★★(7)
last update:2003/12/22
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Köhntarkösz 1974
Köhntarkösz
1. Köhntarkösz (part 1) (15:24)
2. Köhntarkösz (part 2) (16:04)
3. Ork Alarm (5:30)
4. Coltrane Sündïa (4:14)
「M.D.K.」に並ぶマグマの代表曲「Köhntarkösz」(コンタルコス)はなんといっても次の『Live』での演奏が有名だが、本作はそのオリジナルのスタジオ版を収録。ライヴでの超ハイテンションなプレイと比較すると、こちらはわりとあっさり目にまとまっている。
 本作が1stから続いていたコバイア・ストーリーと関係しているのかどうかは不明だが、「M.D.K.」冒頭の歌詞(演説)で"Köhntarkösz"という言葉が出てくることから推測すると多少の関係はあるのかもしれない。Ëmëhntëht-Rëの墓を見つけた人間(Köhntarkösz)が秘儀を伝授されるという物語。
「M.D.K.」はダイナミックに曲調を変えて進行していく組曲だったが、「Köhntarkösz」は1つの単純なモチーフを微妙に変化させ、延々と繰り返しながら徐々に盛り上がっていくタイプの曲。歌よりも楽器演奏主体の点も「M.D.K.」とは異なるところ。墓への侵入というテーマのためか、深い暗黒に沈みこんでいくような重いサウンドである。
 関係無いがマグマの音楽、特にこの「Köhntarkösz」は、その世界観や超現実性においてラヴクラフトの小説に非常に近いものがあると思うが如何だろう? 
★★★★★★★(7)
last update:2003/12/22
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Hhaï/Live 1975
ライヴ!!
Hhaï/Live
[disk1]
1. Köhntark (Part One) (15:45)
2. Köhntark (Part Two) (16:14)
3. Ëmëhntëht-rê (Announcement) (8:09)
[disk2]
1. Hhaï (9:20)
2. Kobah (6:37)
3. Lïhns (4:56)
4. Da Zuehl Wortz Mekanik (6:14)
5. Mëkanïk Zaïn (18:57)
 マグマの最高傑作であると同時に、ライヴ・アルバムとしてロック史上5本の指に入る超名盤。いきなりライヴ・アルバムを聴くのは抵抗があるかもしれないがマグマ入門には本作が最適。これが気に入らなかった人に、これ以上マグマは薦めない。
 超ヘヴィ、超ハイテンション!!「Köhntark (part2)」(「Köhntarkösz」の後半部分のこと)など、「これでもか!!」と言わんばかりの緊張感を保ったままどんどん激しさを増してゆき、これ以上はないだろうと思った瞬間に更にグイッとテンションが上がって聴く者にとどめを刺す。危険極まりない。ヘヴィメタルみたいに歪んだギターにばかり依存するハイテンションとは次元が違う。バイオリン、エレピ、ベース、ドラムという楽器がぶつかり合って生み出される奇跡の演奏を是非とも聴こう。特に凄いのがクリスチャン・ヴァンデのドラミング。あんた早死にするぞっていうほどのぶっ叩きまくりである。白目を剥いてアチラの世界にいってしまっている姿が容易に想像できる。ドラマーはバンドのゴールキーパーなんて言われるが、ヴァンデの場合ゴール前でじっと待つことなどありえない。自ら敵陣へ攻めていき、シュートを決めてしまうとんでもないゴールキーパーである。
 このアルバム唯一の不満点は、「M.D.K.」が完録ではないこと。だがその不満はAKTレーベルからリリースされた『Theatre Du Taur』で解消する。
 とにかく誰が何と言おうとロック史に残る最高のライヴアルバム。
 ロックファンなら絶対に聴いておこう・・・いや、聴きなさい。これは命令だ!!
★★★★★★★★★★!!!(10)
last update:2003/12/22
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Üdü Wüdü 1976
Üdü Wüdü
1. Üdü Wüdü (4:13)
2. Weidorje (4:33)
3. Tröller Tanz (3:46)
4. Soleil D'ork (3:50)
5. Zombies (4:24)
6. De Futura (17:40)
7. Ëmëhntëht-Rê (Extrait no. deux) (3:13)
 ロックの世界には“ライヴ・アルバムを出すと音が変わる”というジンクスがあるが、本作もその例にもれず変わった。
 まず目に付くのは収録曲数の多さ(といっても全6曲+ボーナストラック2曲だが)。今までのように30分を越える曲はなく、各メンバーが持ち寄った4分程度の小曲がほとんど。しかも、メンバーが流動的だった時期でもあり、曲ごとに演奏者が異なっているのでイマイチまとまりに欠ける。『.M.D.K.』『Wurdah Ïtah』『Köhntarkösz』といった名盤と比較するとコンセプトが希薄なのはやむを得ないところか。
 1〜5曲目までは上記の通り、どれも5分未満の小曲。最初のアフリカン・ミュージック(?)には少々違和感を覚えるが、それ以外は派手さはないもののどれもマグマらしい佳曲である。特に5曲目の「Zombies」はヤニック・トップによるシンプルなベースのリフがカッコいい、マグマ風ヘヴィ・ジャズロック。次に控える「De Futura」の伏線的要素もある。
 そしてその「De Futura」。これはもうクリスチャン・ヴァンデVSヤニック・トップという戦いである。ゆったりとしたテンポで重々しくはじまるこの曲は、両者の武器(楽器)がぶつかり合うたびに速度を増してゆき、最後には誰の手にも届かないような次元で壮絶な攻撃の応酬を繰り広げる。シンセとヴォイスが若干入るが、ほとんどドラムとベースのみの演奏で最後まで突っ走っている。
★★★★★★★★(8)
last update:2003/12/22
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Inedits 1977
Inedits
1. Sowiloi+KMX-EXII-Opus3 (13:47)
2. KMX-BXII-Opus7 (6:20)
3. Om Zanka (5:38)
4. Gamma (4:10)
5. Terrien Si Je T'ai Convoque (4:04)
6. Gamma Anteria (7:58)
 またライヴ。だがこちらは未発表音源集的なもの。
 音質は相当悪いが、「SOWILOI + KMX-EXII-opus 3」でのヤニック・トップのベース・ソロは必聴。彼が“地鳴りベーシスト”なんて呼ばれる理由がわかるはずだ。ヴァンデでさえ手出しのできない暴れっぷリである。

※2004年の『K.A』リリースによって本作は俄然重要度が増した。本作収録の「Om Zanka」や「Gamma(Gamma Anteria)」は、「Köhntarkösz」最初期バージョンである「K.A」を構成するパーツの1つだったのだ(ある程度知られていたことではあるが)。クロース・ブラスキスが一人で歌う「Gamma Anteria」と、混声の「K.A III」を比較して聴くのも面白い。
★★★★★★(6)
last update:2003/12/22
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Attahk 1978
Attahk
1. The Last Seven Minutes (7:33)
2. Spiritual (3:16)
3. Rind^ë (3:06)
4. Liriïk Necronomicus Kanht (5:04)
5. Maahnt (5:28)
6. Dondai (8:00)
7. Nono (6:45)
『.M.D.K.』から『Hhaï/Live』までの黄金期のファンであればあるほど、このあたりのマグマは興味対象外になってしまうのかもしれない。当時のヴァンデが傾倒していたソウル・ミュージックの影響が色濃く表れており、暗黒のサウンドはすっかり影を潜めてしまった。とはいっても「The Last Seven Minutes」など、ハイテンションな曲は健在。他のスタジオアルバムでは割と無難なドラミングでまとめていたヴァンデだが、本作ではライヴみたいに本能のおもむくまま叩きまくっている。バスドラの音が異様にデカい。
 また本アルバムにおいてはクリスチャン・ヴァンデ自身がリードヴォーカルとして前に出ており、クロース・ブラスキスはバックヴォーカルにまわるはめになった。これは本作でプロデューサー的立場にあり、ブラスキスとの確執があったローラン・ティポという人物の提案だという。このことによって、1st以来リードヴォーカリストとしてバンドを支えてきたブラスキスの誇りは傷つけられ、やがて彼の脱退という事態を招くことになる(脱退理由は他にも色々あるようだが)。
★★★★★★(6)
last update:2003/12/22
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Retrospektïw I-II 1981
Retrospektïw I-II
[disk1]
1. Theusz Hamtaahk (36:04)
[disk2]
1. Mekanïk Destruktïw Kommandöh (40:04)
 ライヴ。2枚組全2曲。
 このライヴは結成10周年を記念して、今までマグマに関わってきたメンバーが多数集まって演奏したもの。「Theusz Hamttaahk」と「M.D.K.」を収録。前者ではこのアルバムを最後にマグマを抜けてしまうクロース・ブラスキスの最後の熱唱が聴ける。後者は冒頭に演説があり、その後お馴染のテーマに突入したところで「Mekanïk Destruktïw Kommandöh!!」という声が入ると会場からわれんばかりの大歓声。う〜ん、鳥肌もの。
 人数が多いだけに全体的に音が厚く、ロック・バンドの演奏というよりちょっとしたオーケストラのようだ。唯一気に入らないのはスネアの音。イマイチ抜けがよくない。個人的には『Hhaï/Live』のスネアが一番好きなのだが・・・。
 70年代の荒々しくヘヴィなサウンドと比べるとだいぶ洗練され、円熟味を増したこのライヴ。『Hhaï/Live』ほどではないにせよ、お薦め度は高い。
★★★★★★★★(8)
last update:2003/12/22
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Retrospektïw III 1981
Retrospektïw III
1. Retrovision (18:13)
2. Hhaï (13:22)
3. "La" Dawotsin (4:10)
「III」と題されてはいるが、実は「I-II」に先行してリリースされた「レトロスペクティヴ」の第3弾。
 クロース・ブラスキス不在のマグマ。厳密に言うと、ブラスキスのヴォーカルが後任のギ・カリファのヴォーカルに差し替えられている。マグマでのブラスキスのキャリアは非常に後味悪く終わるわけだが、そのブラスキスに同情的な立場で本作1曲目「Retrovision」を聴くと、冒頭のファンキーなMCやそれに呼応するインチキ臭い歓声に怒りすら覚える。さらに女性ボーカルのソウルフルなシャウト。「Ohベイベ〜」なんてのはもはやマグマではない。
 そんなわけで初めて聴いたときは冷静な鑑賞などとてもできなかった。だが長い冷却期間を置いて改めて聴いてみると、そんなに悪くないのでは?と思えてくる。ヴァンデの手数の多いドラミングは健在だし、曲調がシリアスになり、楽器隊・コーラス隊が一丸となって全力疾走する後半のスリリングな展開はかつての暗黒マグマそのもの。前半部も、前述のシャウトや一部のダサダサなハミングを気にしなければ、「Wurdah Ïtah」のような「声」主体のマグマと変わらない。
 2曲目「Hhaï」はライヴの定番としてお馴染みだが、中間のシンセとバイオリンの掛け合いはかなりマハヴィシュヌ・オーケストラっぽい。シンセの音がヤン・ハマーに似ている。ラストの「"La" Dawotsin」は新曲だが、よくよく聴くと『.M.D.K.』の「Nebëhr Gudahtt」がモチーフのようである。
★★★★★★★(7)
last update:2005/05/08
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Merci 1984
Merci
1. Call From The Dark (Ooh Baby) (7:16)
2. Otis (5:21)
3. Do The Music (4:23)
4. Otis (Ending) (1:58)
5. I Must Return (6:38)
6. Eliphas Levi (11:04)
7. The Night We Died (4:13)
 この作品を理解しない者は真のマグマファンではない、というような空気が一部のファンの中にあるように思う。たしかにクリスチャン・ヴァンデの考えや音楽的背景を深く理解すれば、このアルバムが生まれたのは必然だったということがわかってくる。だが、だからといってマグマの音楽が初めからこのアルバムのようだったら、その人達はそもそもマグマのファンになったのだろうか? 「M.D.K.よりMerciの方が好きです、と言えばマグマ通」みたいな考えこそ真のファンならやめるべきだろう(本当に好きならともかく)。
「理解すること」と「評価すること」は別問題。ドラムを他のドラマーや打ち込みに任せ、ヴァンデ自身が一切叩いていないことからも、本作はマグマというバンドのコンセプトから外れていることは明らかで、マグマとして評価するのは厳しい。ヴァンデ自身もそれは理解していたはずで、だからOFFERINGに活動をシフトしていったのだろう。
 ではこれがマグマの作品でなかったらどうかというと、オープニングナンバーのようなポップな曲は、やはり今の感覚で聴くと陳腐さ古臭さが否めない。だがドラムレスのラスト2曲、「Eliphas Levi」と「The Night We Died」には、OFFERINGに通じる精神の高まりが感じられる。特に美しいコーラスが突如不気味な不協和音に変化して終わる後者には、意味深なタイトルも含めて暗示めいたものを意識せずにはいられない。

 クリスチャン・ヴァンデのソロアルバムとして出ていたなら、高く評価したい作品ではある。
★★★★★(5)
last update:2005/05/04
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Flöë Ëssi 1998
Flöë Ëssi
1. Flöë Ëssi "La fille de la mer" (2:59)
2. Ëktah "Le Héros" (5:51)
 98年の来日後しばらくしてリリースされたシングル。マグマとしては『Merci』以来のスタジオ録音ということになる。
 ライヴで「De Futura」「Köhntarkösz」「Mekanïk Destruktïw Kommandöh」などの往年の名曲を惜しげもなく演奏してくれたメンバーによる作品ゆえに、70年代マグマのファンにも納得のいく2曲ではないだろうか。
 ベーシスト、フィリップ・ブソネ作曲の「Flöë Ëssi "La fille de la mer"」は、変拍子のジャジーなイントロ、マグマらしい躍動的なコーラス、ちょっとカンタベリーっぽいブレイク等、プログレファンにはたまらない要素満載。約3分という短さながらも起承転結がきっちりとつけられており、非常に密度の高い佳曲である。
「Ëktah "Le Héros"」はクリスチャン・ヴァンデの反復ヴォーカルをフィーチュア。
★★★★★★★(7)
last update:2005/05/05
Theusz Hamtaahk 2001
パリ・ライヴ2000/トゥーザムターク全楽章
Theusz Hamtaahk
[disk1]
1. Malawëlëkaahm (6:29)
2. Sewolahwehn ohn Zain (6:43)
3. Deumb leweless dolehn (3:52)
4. Zeuhl Wortz (2:28)
5. Gorutz Waahrn (3:16)
6. Tu lu li le ui du wii (1:08)
7. Se lah Maahri Donsai (2:31)
8. Slibenli deh Theusz (5:21)
9. Zortsung (3:09)
[disk2]
1. Malawëlëkaahm (4:21)
2. Bradïa da zïmehn iëgah (2:35)
3. Manëh fur da Zëss (1:42)
4. Fur dï Hël Kobaïa (5:38)
5. Blüm tendiwa (5:49)
6. Wohlsünt mlem sëwëlëss (3:09)
7. Waïnsaht !!! (3:11)
8. Wlasik steuhn Kobaïa (2:44)
9. Sëhnntëht dros wurdah süms (6:01)
10. C'est la vie qui les a menés là! (4:32)
11. Ëk sün da Zëss (2:38)
12. Se Zeuhl ündazïr (6:11)
[disk3]
1. Hortz fur dehn Stekehn West (10:17)
2. Imah suri Dondai (4:14)
3. Kobaia iss deh hundin (2:07)
4. Da Zeuhl Wortz Mekanik (7:21)
5. Nebehr Gudahtt (7:40)
6. Mekanik Kommandoh (8:05)
7. Kreuhn Kohrmahn iss deh hundin (1:30)
8. Da Zeuhl Wortz wainsaht (hymne de la Zeuhl Wortz) (1:54)
9. unnamed final track (5:41)
 マグマ結成30周年を記念して企画されたトゥーザムターク三楽章の全曲演奏ライヴ。本作はそのパリ公演(2000/5/13、5/14)の模様を収録。
「怒りの時」「地球の終焉」「呪われし地球人たちへ」のフルバージョンが通しで演奏されるなどということは30年の歴史で初めてであり、そしておそらく今後2度とこんなライヴは行われないだろう。何故ならクリスチャン・ヴァンデにはまだ「Köhtntarkösz」「Ëmëhntëht-rê」「Zess」という未完の大作を完成させるというミッションが残っており、年齢的なことを考えると今後はそのミッションへ全力を注がなければならないからだ(「Köhtntarkösz」は一応完成しているが、未完の初期バージョンが存在する)。その意味で本作はクリスチャン・ヴァンデのトゥーザムタークへのけじめとも受け取れる。つまりライヴ録音ではあるが、これこそが「結論」ということではなかろうか(AKTではなくSEVENTHブランドが与えられていることも、これが単なるライヴ記録ではなくマグマとしての「作品」であることを示している)。
 内容の素晴らしさについては言うまでもないだろう。クリスチャン・ヴァンデの年齢云々と書いたが、これを聴く限りそんな心配はあと20年は無用と思われる。
 だが特筆すべきはそのヴァンデを囲む若手ミュージシャン達。多くの長寿バンドが年とともに妙に落ち着いてしまい、「懐かしさ」という調味料なしでは聴けたものでなくなるのに対し、マグマには30年という時を経た今もなお全盛期と変わらぬ刺激を求めることができる。その理由がヴァンデの傍らにいる凄腕の若手(ヴァンデから見たら)の存在なのだ。
 とりわけベーシストのフィリップ・ブソネの力量は相当に高く、本作ディスク3後半(所謂「Mëkanïk Zaïn」の部分)での超絶プレイや、2度の来日公演で彼の演奏を目の当たりにした感じだと、かのヤニック・トップをも凌ぐ化け物ではないかとさえ思う。こうした若手達とのバトルがヴァンデの刺激となり、あのハイテンションを維持する原動力となっているのは間違いないだろう。
 なお本作には三楽章全てのコバイア語歌詞が掲載されたブックレットが付属しており、資料的価値もかなり高い。
★★★★★★★★★(9)
last update:2005/05/11
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K.A 2004
コンタルコス・アンテリア
K.A
1. K.A I (11:12)
2. K.A II (15:53)
3. K.A III (21:44)
 この人たちはとうとうやってくれた! これがキャリア30年を越えるバンドの出すアルバムだろうか! 70年代の全盛期にリリースされたと言われても不思議ではないアグレッシヴさ。『.M.D.K.』『Hhaï/Live』に並ぶマグマの最高傑作となるのはほぼ間違いないだろう。

 この「K.A(Köhntarkösz Anteria)」は、かの名曲「コンタルコス」の最初期バージョン。だが「コンタルコス」の面影はほとんどなく、僅かに「K.A II」の冒頭にそのイントロが確認できるのみ。むしろこの曲を構成する重要パーツは、ライヴアルバム『Inedits』に見つけることができる。即ち「K.A」最大の盛り上がり「III」が、『Inedits』収録の「Om Zanka」+「Gamma Anteria」なのである(一瞬「Theusz Hamtaahk」も)。
 またその「Om Zanka」は、1974年のBBCのスタジオライヴで披露された過渡期の「Köhntarkösz」(Ver.2)の前半にも組み込まれていたので、これでようやく初期バージョンから最終バージョンへの進化の全貌が明らかになったのである(Ver.2のラストは所謂「ハレルヤコーラス」だが「Gamma Anteria」とは別物)。

 さて、改めて本作を聴いてみると、今まで以上に「声」が重視されていることがわかる。いや、重視なんてものではなく、コーラス組はほとんど休みなしだ。70年代のオリジナル「K.A」がどうだったのかはわからないが、おそらくこれはヴァンデの今の趣向や現在のメンバー構成に合わせてアレンジしたものと思われる。過去作品で言うなら「Wurdah Ïtah」の方向性に近い。
 そのため楽器メインの激しいインタープレイはないが、「K.A III」後半(つまり「Gamma Anteria」)ではもはや声自体が強力な楽器となって「Allëhlüïa」というフレーズを壮絶に連呼している。また同箇所でのフィリップ・ブソネのベースも「とうとうぶち切れたか!」というほどの凄まじさ。こういう速弾きタイプのベースはかつてのマグマにはなかったが、21世紀のマグマのベーシストはこれくらい派手な方がいい。
 勿論、こんなベースを目の前で弾かれて御大クリスチャン・ヴァンデが黙っているはずもなく、変拍子を独特のリズム感で捉えて自由奔放に叩きまくるいつものドラミングスタイルによって、曲を滅茶苦茶に引っ掻き回してくれている。他のパートのメンバーはさぞかし大変だったろう。

 総合的にみて、昔のファンを喜ばせる内容でありながら、変にマニアックでないためマグマ入門しても最適な一枚。今までマグマ未聴の人にはまず『Hhaï/Live』を薦めていたが、これからはこの『K.A』を薦めることになりそうだ。
★★★★★★★★★★!!!(10)
last update:2005/05/16
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Concert 1975/Theatre Du Taur 1995
トゥールーズ1975
Concert 1975/Theatre Du Taur
[disk1]
1. Köhntarkösz (32:29)
2. Hhaï (11:19)
3. Kobaïa (11:48)
[disk2]
1. Mekanïk Destruktïw Kommandöh (38:16)
 AKT IV。
『Hhaï/Live』とほぼ同時期(3ヶ月後)のライヴ。アルバム作品としてのリリースを考えていろいろ作り込まれた『Hhaï/Live』と違い、こちらは2トラック録りっぱなしの真のライヴ音源。当然音質は劣るが、荒々しさ、臨場感、迫力はこちらが上。
 曲目は『Hhaï/Live』とだいたい一緒なのだが、例えば「Köhntarkösz」のヴァイオリン・ソロの部分など、あのライヴ以上のテイクなど絶対にありえないと信じているとその考えの甘さを思い知らされるだろう。もう、ただただ「すげぇ〜!」と叫ぶしかない凄まじさである。
 また、『Hhaï/Live』では後半部のみだった「M.D.K.」が、本作では遂に完録。あの超印象的なイントロ部は、ベルナール・パガノッティのファズ・ベースによって非常にロック色が強くなっている。こっちもとにかく凄い。
★★★★★★★★★★!!!!(10)
last update:2005/05/04
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Mekanïk Kommandöh 1989
Mekanïk Kommandöh
1. Mekanïk Destruktïv Kommandöh (37:51)
 AKT X(以前はSEVENTHだった)。
 1973年録音の『M.D.K.』別テイク。『M.D.K.』より少し前に録音されたもので、細かいところが煮詰まっていないが構成はほぼ同じ。ただ『M.D.K』時のメンバーはまだ揃っておらず、ヤニック・トップもいなければ、ギタリストも不在。したがって音は少々軽い。
『M.D.K.』とは異なり、冒頭はコバイア語による演説。演説最後は声が裏返るほどの絶叫となり、聴く者を震え上がらせる。続くメインテーマのコーラスも音楽というよりは呪文を唱えているようで、『M.D.K.』にはない危うさを感じる。同じ曲なのにアレンジでこうも変わるものなのか。
 正式バージョンは、リリースにあたってかなり音楽的に作り込まれたはずだが、本バージョンは余計な作り込みもなく、クリスチャン・ヴァンデの表現したかったものがほとんどそのまま残っているように思う。だとすると真の「M.D.K.」は果たしてどちらなのか?と考えずにはいられなくなる。
★★★★★★★★(8)
last update:2005/05/04
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