HATFIELD AND THE NORTH
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ハットフィールド&ザ・ノース United Kingdom
 ハットフィールド&ザ・ノースはキャラバン系DNAを強く受け継いだカンタベリー・ミュージックの1グループ。活動期間は3年半程度と短かったが、彼らが残した2枚のアルバムは共に素晴らしい出来栄えで、特に2ndはカンタベリー・ミュージックを代表する名盤となっている。
 メンバーは元キャラバンのリチャード・シンクレア(b,vo)、元マッチング・モウルのフィル・ミラー(g)、元エッグのデイヴ・スチュアート(k)、元デリヴァリーのピプ・パイル(d)の4人。
Hatfield & the North 1974
Hatfield & the North
CoverArt:
Laurie Lewis
1. The Stubbs Effect (0:23)
2. Big Jobs (Poo Poo Extract) (0:36)
3. Going Up To People And Tinkling (2:26)
4. Calyx (2:45)
5. Son Of "There's No Place Like Homerton" (10:11)
6. Aigrette (1:38)
7. Rifferama (2:56)
8. Fol De Rol (3:08)
9. Shaving Is Boring (8:46)
10. Licks For The Ladies (2:37)
11. Bossa Nochance (0:40)
12. Big Jobs No. 2 (by Poo Poo And The Wee Wees) (2:15)
13. Lobster In Cleavage Probe (3:57)
14. Gigantic Land Crabs In Earth Takeover Bid (3:21)
15. The Other Stubbs Effect (0:38)
16. Let's Eat (Real Soon) * (3:16)
17. Fitter Stoke Has A Bath * (4:35)
 1stアルバム。
 煌びやかなピアノによるSE的な曲で幕を開き、程なく始まる(2)「Big Jobs(Poo Poo Extract)」。たった30秒程度の小曲ながら、人の心を捉えて離さない名曲である。
 なにが素晴らしいのか。
 細かなことだが、例えばピプ・パイルのドラム。張り詰めた空気の漂うAm9の1小節目をシンバルワークで流し、Em9に下りて緊張の緩んだ2小節2拍目にビシッとファースト・スネアを決める。このスネアの位置だ。1小節目ではなく、2小節目のこの位置に最初のスネアがあることで、これから始まる音楽絵巻への強い意志を感じさせるのである。言葉で表現するのが難しい微妙なニュアンスだが、おわかりいただけるだろうか?
 素晴らしいのはドラムだけではない。リチャード・シンクレアの甘い歌声。多くの人が出だしの「Here's a song〜♪」という部分だけでやられてしまうだろう。また、そのボーカルメロディをアシストするフィル・ミラーのギターや、カンタベリー・ミュージックらしい浮遊感を生むデイヴ・スチュアートのエレピなど、メンバーが一丸となって本作品に取り組む姿勢が表れており、とても濃密な30秒なのである。
 他の曲に目を向けると、ジャズロック的な(3)に引き続いて始まる(4)「Calyx」。天使の歌声と称されるロバート・ワイアットをフィーチュアしたスキャットナンバーだ。更には(5)(13)で登場するノーセッツという女性3人のコーラスグループ。その中でもアマンダ・パーソンズの管楽器のような独特のソプラノボイスが美しい。
 と、こんな具合にボーカルに関しては美声揃いである。
 アルバム全体の構成としては、レコード時代の名残で(7)と(8)の間で一旦区切られる以外は、メドレーのように1つの曲として繋がっている(前述した「音楽絵巻」という表現はこのこと)。歌モノはソフトに、インストはハードに、というのが基本的な流れ。考えなしの荒唐無稽な展開に見せておきながら、(12)で突如として(2)のメロディーに回帰するなど、カンタベリー・ミュージックらしい機智とユーモアに溢れた作品である。ラスト(ボーナストラック除く)の(15)で、(1)のピアノエフェクトに戻っていく構成はさすがとしか言いようがない。
 なお、ベタ褒めした(2)のコード進行を勉強のために分析してみた。大体以下のような感じである(B♭M7→Bm7の部分がいかにもカンタベリーっぽく聴こえる)。
 Am9|Em9|Am9|Em9|
 FM7|Em7|B♭M7、Bm7|GM7、F#m7|
 Em7|GM7、F#m7|Badd9|
 
★★★★★★★★(8)
last update:2005/03/20
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The Rotters' Club 1975
ザ・ロッターズ・クラブ
The Rotters Club
CoverArt:
Laurie Lewis
1. Share It (3:03)
2. Lounging There Trying (3:16)
3. (Big) John Wayne Socks Psychology On The Jaw (0:43)
4. Chaos at the Greasy Spoon (0:31)
5. The Yes No Interlude (7:01)
6. Fitter Stoke Has a Bath (7:33)
7. Didn't Matter Anyway (3:33)
8. Underdub (4:03)
9. Mumps (20:31)
10. (Big) John Wayne Socks Psychology On The Jaw * (0:43)
11. Chaos at the Greasy Spoon * (0:21)
12. Halfway Between Heaven and Earth * (6:07)
13. Oh, Len's Nature * (1:59)
14. Lying and Gracing * (3:58)
 1曲1曲がすっきりとまとめられ前作よりも聴きやすくなった2ndアルバム。本作はハットフィールズの、というよりカンタベリー・ミュージックの最高峰とまで称されている。
 その名声を揺るぎないものにしたのが20分を超える組曲「Mumps」の存在。フィル・ミラーのクリーンなギターサウンド、デイヴ・スチュアートのエレピ、ノーセッツのソプラノコーラスなど、音楽を組み立てる全ての要素がガラス細工のように透き通った美しい名曲だ。聴きこむうちにリスナーはこの無色透明な世界の捕われ人となるが、最後の2分間で雲の切れ間から天使が舞い降りてくる様を目撃するはず。それはまさにアルバムジャケット(裏面)に描かれた世界そのままなのだ。音とアートワークがシンクロする音楽作品は他にもあるが、この曲での一致度合いには感動すら覚える。
 だがこの「Mumps」もさることながら、個人的には(1)「Share It」や(6)「Fitter Stoke has a Bath」のようなキャッチーなカンタベリーポップにより強く惹かれる。ひねくれたコード進行でありながら、1度聴いたら次は一緒に口ずさめてしまうほど親しみやすいメロディー。そしてそのソングライティングセンス。
 他のプログレッシヴ・ロックと区別され、今も独自のファンに支持されているカンタベリーミュージックの魅力とは? ・・・その答えがここにある。
 例えばソフトマシーンは、キャラバンと並ぶカンタベリーの中心グループでありながら、カンタベリーミュージックとしては異端と言われる。それは複雑なことを複雑なままやっているから・・・と私は考える。
 ジャズなどから持ってきたややこしい音楽理論を親しみやすいポップソングで活かす。これぞカンタベリーミュージックの醍醐味。フィル・ミラー作のインストゥルメンタル、(2)「Lounging There Trying」もそう。転調の嵐だというのになんとわかりやすいメロディーか。
 こうした楽曲で埋め尽くされたこの『The Rotters' Club』が、カンタベリーミュージック屈指の名盤と呼ばれるのは至極当然のことなのだ。
★★★★★★★★★★(10)
last update:2005/03/23
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